KiiObject の ACL のカスタマイズ

KiiObject の ACL を設定することにより、Bucket 内の KiiObject それぞれに対するアクセス権を変更できます。

KiiObject の ACL エントリー

KiiObject の ACL エントリーに指定可能な項目は以下のとおりです。

  • アクション(アクセス制御)

    対象のユーザー/グループ/Thing が「何をできるか」を指定します。

    アクション コードでの指定 ※ 対象ユーザー/グループ/Thing ができること
    READ_EXISTING_OBJECT KiiACLObjectActionRead KiiObject の読み取り。
    WRITE_EXISTING_OBJECT KiiACLObjectActionWrite KiiObject の更新と削除。

    ※ これらのシンボルは、列挙型 KiiACLAction で定義されています。KiiACLAction.KiiACLObjectActionRead のように指定できます。

    注意Bucket のアクションである KiiACLBucketActionReadObjects アクションを許可されているサブジェクトは、KiiACLObjectActionRead アクションを許可されているかどうかにかかわらず、Bucket 内の全ての KiiObject を無条件で読み取れます。動作例は ACL の変更の例 を参照してください。

  • サブジェクト(対象)

    「誰が」実行できるようになるかを指定します。

    サブジェクト 誰が実行可能か
    KiiUser インスタンス 指定されたユーザー。
    KiiGroup インスタンス 指定されたグループのメンバー。
    KiiThing インスタンス 指定された Thing。
    KiiAnyAuthenticatedUser ログイン済みの全ユーザー。
    KiiAnonymousUser 匿名ユーザー。

    ログイン済みの全ユーザーと匿名ユーザーの定義については、サブジェクト をご覧ください。

KiiObject の ACL の管理

KiiObject の ACL にエントリーを追加または削除できます。ACL エントリーの一覧を取得することもできます。

KiiObject に ACL エントリーを追加する

ACL エントリーを KiiObject に追加する例として、KiiACLObjectActionRead アクションを KiiAnyAuthenticatedUser に許可するサンプルコードを示します。

  • // Instantiate a KiiObject.
    var object = KiiObject.objectWithURI("Set the URI of an existing KiiObject here");
    
    // Create an ACL entry.
    var entry = KiiACLEntry.entryWithSubject(new KiiAnyAuthenticatedUser(), KiiACLAction.KiiACLObjectActionRead);
    
    // Instantiate the ACL of the KiiObject.
    var acl = object.objectACL();
    
    // Set the ACL entry to the ACL.
    acl.putACLEntry(entry);
    
    // Save the ACL to the server.
    acl.save().then(
      function(theACL) {
        // Do something.
      }
    ).catch(
      function(error) {
        var theACL = error.target;
        var errorString = error.message;
        // Handle the error.
      }
    );
  • // Instantiate a KiiObject.
    var object = KiiObject.objectWithURI("Set the URI of an existing KiiObject here");
    
    // Create an ACL entry.
    var entry = KiiACLEntry.entryWithSubject(new KiiAnyAuthenticatedUser(), KiiACLAction.KiiACLObjectActionRead);
    
    // Instantiate the ACL of the KiiObject.
    var acl = object.objectACL();
    
    // Set the ACL entry to the ACL.
    acl.putACLEntry(entry);
    
    // Save the ACL to the server.
    acl.save({
      success: function(theACL) {
        // Do something.
      },
      failure: function(theACL, errorString) {
        // Handle the error.
      }
    });
  1. acl() メソッドをコールして KiiACL のインスタンスを生成します。
  2. KiiACLEntry を生成して、 putACLEntry() メソッドの引数として渡します。この例では KiiAnyAuthenticatedUser インスタンスをサブジェクトとして設定し、ログイン済みの全ユーザーにアクセス権限を与えています。同様に KiiAnonymousUser を指定すれば匿名ユーザーに、特定の KiiUser を指定すれば、そのユーザーにアクセス権限を付与できます。
  3. save() メソッドをコールして ACL の変更要求を Kii Cloud に送信します。

ACL エントリーにユーザーやグループなど、他のサブジェクトを指定する方法の詳細は KiiACLEntry を参照してください。

KiiObject の ACL エントリーを削除する

設定されている ACL エントリーを削除するには、KiiACLEntrygrant を false にしたエントリーを作成して保存します。サーバー上の ACL から指定した ACL エントリーが削除されます。

以下は、上のサンプルコードによって作成された ACL エントリーを削除する例です。

  • // Instantiate a KiiObject.
    var object = KiiObject.objectWithURI("Set the URI of an existing KiiObject here");
    
    // Create an ACL entry.
    var entry = KiiACLEntry.entryWithSubject(new KiiAnyAuthenticatedUser(), KiiACLAction.KiiACLObjectActionRead);
    entry.setGrant(false);
    
    // Instantiate the ACL of the KiiObject.
    var acl = object.objectACL();
    
    // Set the ACL entry to the ACL.
    acl.putACLEntry(entry);
    
    // Save the ACL to the server.
    acl.save().then(
      function(theACL) {
        // Do something.
      }
    ).catch(
      function(error) {
        var theACL = error.target;
        var errorString = error.message;
        // Handle the error.
      }
    );
  • // Instantiate a KiiObject.
    var object = KiiObject.objectWithURI("Set the URI of an existing KiiObject here");
    
    // Create an ACL entry.
    var entry = KiiACLEntry.entryWithSubject(new KiiAnyAuthenticatedUser(), KiiACLAction.KiiACLObjectActionRead);
    entry.setGrant(false);
    
    // Instantiate the ACL of the KiiObject.
    var acl = object.objectACL();
    
    // Set the ACL entry to the ACL.
    acl.putACLEntry(entry);
    
    // Save the ACL to the server.
    acl.save({
      success: function(theACL) {
        // Do something.
      },
      failure: function(theACL, errorString) {
        // Handle the error.
      }
    });

KiiACLremoveACLEntry() メソッドは、クライアント側で準備中の「ACL の 変更リスト」のエントリーを削除するもので、サーバー上の ACL エントリーを削除するものではない点にご注意ください。上記のコードでは、クライアント上の acl に対して、KiiACLObjectActionRead アクションを伴う ACL エントリーの削除要求を登録してから、save() でサーバーに反映しています。removeACLEntry() は、この ACL エントリーを変更リストから削除するためのもので、サーバー上の ACL を直接操作するためのものではありません。

KiiObject の ACL を取得する

KiiObject に設定されている ACL を取得できます。ACL エントリーを明示的に設定していない場合でも、デフォルトの ACL を取得することができます。

以下のように、ACL は ACL エントリーの配列として取得できます。

  • // Instantiate a KiiObject.
    var object = KiiObject.objectWithURI("Set the URI of an existing KiiObject here");
    
    // Instantiate the ACL of the KiiObject.
    var acl = object.objectACL();
    
    // Get the ACL entries from the server.
    acl.listACLEntries().then(
      function(params) {
        var theACL = params[0];
        var theEntries = params[1];
        for(var i = 0; i < theEntries.length; i++) {
          var action = theEntries[i].getAction();
          var subject = theEntries[i].getSubject();
          // Check the ACL entry.
        }
      }
    ).catch(
      function(error) {
        var theACL = error.target;
        var errorString = error.message;
        // Handle the error.
      }
    );
  • // Instantiate a KiiObject.
    var object = KiiObject.objectWithURI("Set the URI of an existing KiiObject here");
    
    // Instantiate the ACL of the KiiObject.
    var acl = object.objectACL();
    
    // Get the ACL entries from the server.
    acl.listACLEntries({
      success: function(theACL, theEntries) {
        for(var i = 0; i < theEntries.length; i++) {
          var action = theEntries[i].getAction();
          var subject = theEntries[i].getSubject();
          // Check the ACL entry.
        }
      },
      failure: function(theACL, errorString) {
        // Handle the error.
      }
    });
  1. acl() メソッドをコールして KiiACL のインスタンスを生成します。
  2. listAclEntries() メソッドをコールして、登録されている ACL を KiiACLEntry の配列として取得します。
  3. 配列の各エントリーを確認することで目的の処理を実行します。

action には KiiACLAction のいずれかが、subject にはサブジェクトが入ります。いずれも ACL エントリー の一覧をご覧ください。

ACL 設定の際、設定済みの ACL エントリーをさらに追加しようとするとエラーとなります。ここに示す方法で ACL を事前にチェックすることによって、必要な ACL エントリーの変更差分を作成できます。

期待どおりに動作しない場合

  • 複数回実行するとエラーになる

    ACL エントリーは初期化処理等で 1 回だけ書き換え、次回の実行時には再設定しないような実装が必要です。

    保存しようとしている ACL エントリーがすでに設定されていた場合、エラーになります。特に、同じ登録処理を複数回実行すると、登録しようとしている ACL エントリーがすでに存在することになるため、エラーになる点に注意が必要です。

    なお、複数の ACL エントリーは 1 件ずつサーバーに反映するため、途中でエラーが発生すると不完全な形で ACL エントリーが保存されます。このような状況から回復するには、既存の ACL をサーバーから一旦取得し、重複している ACL エントリーを削除してから登録するような処理が必要です。取得方法の詳細は KiiObject の ACL を取得する をご覧ください。

  • ACL エントリーを削除できない

    KiiObject 作成者やスコープオーナーにデフォルトで許可されるアクションの ACL エントリーは削除できません。詳細は スコープオーナーや作成者の ACL エントリーは削除できません をご覧ください。